法律上、成人同士の結婚に親の同意は必要ありません。ただし「押し切れる」ことと「押し切るべきか」は別の話です。反対の理由には性質のまったく違う4種類があり、種類によって取るべき対処が変わります。まず理由を特定するところから始めてください。
前提:法律上、親の同意は要件ではない
民法では婚姻できる年齢が定められており、令和4年4月1日施行の改正により男女とも18歳に統一されました(法務省「民法の一部を改正する法律(成年年齢関係)について」)。成年年齢も18歳に引き下げられています。
したがって成人同士が結婚する場合、親の同意は法律上の要件ではありません。反対されていても婚姻届は受理されます。まずこの事実を押さえたうえで、次の判断に進んでください。
ここで確認しておきたいのは、「法律上できる」ことと「そのまま進めてよい」ことは違うという点です。結婚後も親族としての関わりは続きます。反対を押し切るかどうかの判断は、その関わりをどう設計するかの判断でもあります。個別の法的な問題(相続、扶養など)については弁護士等の専門家にご相談ください。
反対の理由を4種類に分ける
「反対されている」とひとまとめにすると打つ手がありません。理由は次の4つに分かれ、それぞれ対処がまったく違います。
| 種類 | 反対の中身 | 時間で変わるか | 主な対処 |
|---|---|---|---|
| A:条件への不安 | 年収・雇用形態・年齢差・婚歴・住む場所など | 変わりやすい | 情報を出す。数字と計画で答える |
| B:人柄・相性への懸念 | 「挨拶の態度が」「うちの子に合わない気がする」 | 変わりやすい | 接触回数を増やす。判断材料を増やす |
| C:親自身の事情 | 寂しさ、老後の不安、介護の見通し、家業 | 変わりにくい | 相手ではなく親の不安に直接答える |
| D:慣習・信条 | 家柄、地域の慣習、宗教、出身に関わること | 変わりにくい | 説得の対象にしない。距離の設計に切り替える |
最も多い誤りは、CやDの反対に対してAの対処(説明を尽くす)を繰り返すことです。親が本当に不安なのは相手の年収ではなく自分の老後だった、というケースでは、相手の条件をいくら説明しても状況は動きません。
- 理由を特定する質問:「どこが一番心配なのか、具体的に1つ挙げるとしたら何?」——複数の理由を並べられたときは、これで核が見えます。
- 理由が変わり続ける場合:条件を1つ解消するたびに別の理由が出てくるなら、それはAではなくCかDです。表面の理由に付き合わないでください。
種類別の対処
A:条件への不安
これは情報不足の問題なので、最も解消しやすい種類です。口頭ではなく、書いて渡すのが効きます。
- 相手の職業・勤続年数・働き方(雇用形態に不安を持たれている場合は低年収・非正規でも婚活はできる?の考え方が使えます)
- 結婚後の住まいと、双方の実家との距離
- 家計の見通し(世帯としての収支。片方の年収だけで語らない)
- 奨学金など返済がある場合は、残額・月々の返済額・完済予定年をセットで(奨学金の返済がある人の婚活)
B:人柄・相性への懸念
一度会っただけで判断されている場合がほとんどです。回数を分けて、短時間で複数回会う機会を作るほうが、長時間の会食を1回設けるより効果があります。緊張した場での1回の印象は当てになりません。
C:親自身の事情
ここが本丸であることが多い種類です。反対の言葉は相手に向いていても、不安の中身は自分の将来であることがあります。
- 「結婚しても連絡は続ける」「月に1回は顔を出す」など、関係が切れないことを具体的に示す。
- 介護の見通しが不安の核なら、その話を正面から扱う。公的な介護サービスを前提に考えていることを伝えると、負担の想像が変わります(長男・一人っ子・親の介護がある人の婚活)。
- 家業や資産の承継が絡む場合は、感情論にせず具体的な取り決めの話にする。必要なら専門家を入れてください。
D:慣習・信条
出身、家柄、地域の慣習、信条に関わる反対は、説得によって短期間で変わることはほとんどありません。ここで消耗するより、次の設計に切り替えるほうが現実的です。
- 説得を目標にしない。「賛成してもらう」から「関わり方を決める」へ目標を変える。
- 結婚式・出産・年中行事など、今後の接点ごとに関わり方を先に決めておく。
- パートナーを矢面に立たせない。自分の親への対応は自分が引き受ける。
相手の出身地、国籍、家族構成、経済状況などを理由にした反対に、パートナー本人を同席させて説得を試みるのは避けてください。その場で聞く言葉は、関係が続く限り本人の記憶に残ります。反対の内容によっては、伝えないという判断も必要です。
押し切る前にやるべき順番
- 理由を特定する:A〜Dのどれかを見極める。ここを飛ばすと、効かない対処を繰り返すことになります。
- 情報不足なら埋める:Aなら書面で。Bなら会う回数で。
- 期限を決める:「半年は説明を続ける、それでも変わらなければ次の段階に進む」と決めておく。期限がないと消耗だけが続きます。
- 二人の足並みを揃える:ここが最重要です。片方が「時間をかけたい」、もう片方が「もう進めたい」とずれたまま押し切ると、親との関係より二人の関係が先に壊れます。
- 押し切る場合、今後の接点を決めておく:結婚式に呼ぶか、出産や行事のときにどうするか、連絡は誰がするか。決めずに進めると、そのつど衝突します。
期限は「親を説得する期限」ではなく「自分たちが方針を決める期限」として設定してください。前者は相手(親)次第なので自分ではコントロールできませんが、後者は自分たちで決められます。
パートナーを守るための線引き
- 自分の親への対応は自分が担当する:相手に交渉させない。これは原則です。
- 言われた言葉をすべて共有しない:事実(何が懸念されているか)は共有し、人格を否定する表現はそのまま伝えない。
- 相手の家族の悪口を言わない:自分の親についても同様です。将来の関係に残ります。
- 相手に「どちらを取るのか」と迫らない:親も相手も、選ばせる問題にしないでください。
婚活の段階でできる予防
反対の多くは、家族に関わる情報が後から出てくることで大きくなります。婚活の段階から次を意識しておくと、後の摩擦が減ります。
- 自分の家族の事情(同居の可能性、介護、家業、きょうだい構成)を、交際を決める前後までに共有しておく。
- 相手の家族の事情も同じ深さで確認する。片方だけ開示している状態を作らない。
- 結婚を具体的に考える段階で、双方の親への伝え方と順番を決めておく。
仲人型の結婚相談所を利用している場合は、両家の顔合わせまで担当者が助言してくれることがあります。親への挨拶の進め方に不安がある場合、サポート範囲を事前に確認しておくと安心です。全体の流れはお見合いから成婚退会までの流れで解説しています。
再婚や家庭の事情がある場合は、はじめから同じような状況の相手が多い場に身を置くと、家族間の摩擦そのものが起きにくくなります。
よくある質問
Q. 親に反対されていても結婚できますか?
A. できます。令和4年4月1日施行の民法改正により婚姻できる年齢は男女とも18歳に統一され、成年年齢も18歳に引き下げられました。成人同士の結婚に親の同意は法律上の要件ではなく、反対されていても婚姻届は受理されます。
Q. 何から手をつければいいですか?
A. 反対の理由を特定してください。「条件への不安」「人柄への懸念」「親自身の事情(老後や介護など)」「慣習・信条」の4つは対処がまったく違います。条件の説明をいくら重ねても、本当の理由が親自身の不安なら状況は動きません。
Q. 理由が次々と変わるのですが。
A. 条件を1つ解消するたびに別の理由が出てくる場合、表面の理由は本題ではありません。親自身の事情か、慣習・信条に関わる反対である可能性が高くなります。表面の理由に付き合わず、核心を尋ねてください。
Q. 押し切ってもいいですか?
A. 法律上は可能です。ただし押し切る前に、二人の足並みが揃っているかを必ず確認してください。片方が時間をかけたい、もう片方が進めたい、とずれたまま押し切ると、親との関係より二人の関係が先に壊れます。あわせて結婚式・出産・行事など今後の接点をどうするかも先に決めておいてください。
Q. パートナーをどう守ればいいですか?
A. 自分の親への対応は自分が担当し、相手に交渉させないことが原則です。懸念されている事実は共有しても、人格を否定する表現はそのまま伝えないでください。その場で聞いた言葉は、関係が続く限り本人の記憶に残ります。
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